長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 アジア環境レジリエンス研究センター

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概要Overview

レジリエントな地域社会環境システムの創生に向けて

 様々な地球環境問題が顕在化する中、環境変動に対する社会の適応のあり方と対策を検討することが喫緊の課題となっています。この課題を解決するためには、変化を抑制する従来の緩和策に加え、変化を予測し様々なリスクに適応できるレジリエンスの社会実装に資する対策を検討することが重要であり、その対策を導出するためには、既存の学問分野の垣根を超えた学際的研究体制の構築が不可欠です。
 アジア環境レジリエンス研究センター(AERRC)は、環境科学と水産科学の協働のもと、社会科学と自然科学が融合する学際的研究組織による、多次元融合の環境レジリエンスに関する研究・教育を行う組織として2016年4月に設置されました。この体制から生まれる様々な融合研究は、社会経済システムと自然環境システムを統合したレジリエントな社会環境システムへの道を開く成果を生み出すことが期待されています。
レジリエントな地域社会環境システムの創生

AERRCの目的

 社会経済システムと環境システムを包括的に捉え、環境の変化等の多様な圧力にレジリエントに対応できる地域の創生を研究対象とすることにより、俯瞰的長期的視点のもとで未来環境共生社会のための学際的環境科学研究を推進し、地球環境問題に対するレジリエントな適応方策の提言を行うとともに文理融合型の新たな学際的研究モデルを提示することを目的とします。
アジア環境レジリエンス研究センター組織図

AERRC設立までの関連年表

1997年10月 長崎大学に環境科学部創設(国立大学初の環境を専門に扱う文理融合の学部)
2007年 環境科学部、長崎県環境部、雲仙市の3者協定締結(雲仙Eキャンレッジ)推進組織として,環境科学部に環境教育研究マネジメントセンターを設置
2011年 水産学部,環境科学部を基礎学部とする水産・環境科学総合研究科設置
2015年 長崎大学と島原半島3市(雲仙市・島原市・南島原市)が包括連携協定を締結
2016年 環境教育研究マネジメントセンターを廃止し,水産・環境科学総合研究科にアジア環境レジリエンス研究センターを設置

長崎大学第3期中期計画

 長崎大学第3期中期計画(2016~2021)には,AERRCの取り組みついて,右のように記載されています。AERRCは,次のページに示すように長崎県島原半島を実践フィールドとして,本中期計画の実現を目指します。
★長崎大学第3期中期計画(関連部分抜粋)
文理融合の学際組織「アジア環境レジリエンス研究センター」の機能強化により,環境変動・自然災害・地下水汚染などの地域社会の環境課題に対する「地域レジリエンスモデル」を産学官連携で構築するとともに, 環境課題解決に貢献する実践的能力を備えた人材を育成する学部・大学院一貫の文理融合教育プログラムを開発・実施する。
島原半島エコチャレンジ
 島原半島は日本初の国立公園や世界ジオパークに認定されたことからもわかるとおり、国内有数の自然環境に恵まれた地域であり、平成新山を生んだ地熱や森林等の再生可能エネルギー資源も豊富に賦存しています。その一方で、人口減少、観光業など経済の低迷、農畜産業由来の地下水汚染に代表される環境問題、県内随一の規模である雲仙断層群や雲仙火山の防災力強化など取り組むべき課題も数多く認識されています。
 「島原半島エコチャレンジ」は、長崎大学第3期中期計画にもとづき,産学官連携のもと、島原半島を持続可能な発展へと導く地域レジリエンスモデルを確立し、さらにそのモデルを運用し地域のレジリエンス創生に貢献できる人材育成を実践することを目的とします。
島原半島エコチャレンジ
地域レジリエンス教育研究推進拠点の形成 事業年次計画
- 島原半島エコチャレンジSPEC -
地域レジリエンス教育研究推進拠点の形成 事業年次計画
◆長崎大学と島原半島3市の包括連携協定
 長崎大学と島原半島3市は、2015年8月、「両者が有する資源の効果的な活用と、両者の緊密な連携・協力により、3市域における様々な課題に迅速かつ適切に対応し、活力ある豊かな地域社会の形成・発展に寄与する」ことを目的に、包括連携協定を締結しました。
AERRCでは、この協定にもとづき、島原半島において様々な教育・研究活動に取り組んでいきます。

人材育成

 レジリエントな社会を構築するためには、問題解決のための社会技術の開発とともに,問題の重要性を理解し技術を運用できる人材の育成が不可欠です。
 AERRCでは,レジリエントな地域づくりに資する教育プログラムを開発し、レジリエンス創生を担う人材の育成に取り組みます。
島原半島ジオパーク巡検学習
島原半島ジオパーク巡検学習
長崎県の獣害対策実習
長崎県の獣害対策実習
小浜温泉バイナリー発電所見学
小浜温泉バイナリー発電所見学
小浜温泉まちづくりワークショップ
小浜温泉まちづくりワークショップ

アジアへの展開

 東アジア及び東南アジアは、森・川・海に存在する豊かな生態系、大気汚染、豪雨・洪水災害の多発地、ぜい弱性の高い固有の生態系を持つ島嶼地域の存在、など日本の現状とも類似した特徴や関連性を見いだすことができます。水産・環境科学総合研究科にはこれまでにも、アジアの大学との学術交流や留学生交流の実績があり、これらの大学と連携して、地域レジリエンスに関する国際共同研究のネットワーク作りを進めていきます。
アジアへの展開
◆AERRCの業務内容
  • 長崎県を含む九州地域、東南アジア、東アジア地域の各フィールドにおいて現地社会のレジリエンス調査を実施すること
  • レジリエンスを基軸とする自然科学・社会科学融合の地域レジリエンスモデルを構築するとともに、レジリエンス教育プログラムを開発すること
  • 自然環境下で脆弱な状況にある諸地域にレジリエンスモデルとレジリエンス教育プログラムの適用を試みること
  • 環境に関する共同研究の実施に関すること
  • 地域社会住民等を対象とした環境教育の実施に関すること
  • その他センターの目的を達成するために必要な事項
地熱シンポジウムin雲仙
地熱シンポジウムin雲仙
長崎大学・雲仙市共催
2017.2.17

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